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Crusaders 究極の長寿&ファンキーバンド

 Crusadersをあまりご存知でない方のために、簡単な「歴史」をまとめてみました。 歴史的事実の一部は、1984年のジョーサンプル来日パンフレットから抜粋いたしました。

 The Crusadersの始まりはとても古く、私の生まれる前、時は1952年、朝鮮戦争の真っ只中のTexas州Houstonで、ジョーサンプル(13歳)が地元の同好の志とバンド活動をはじめた頃に遡る。 バンドの名前は「スイング・スターズ」。 メンバーは、ドラムスがStix Hooper(14歳)、トロンボーンがWayne Henderson(13歳)、BassとSaxがWilton Felder(12歳)である。 彼等は、同じスミスハイスクールに進学し、その頃からJAZZ、BLUESをベースにR&B、GOSPELなどあらゆる音楽をとりこみながら少しずつ着実に音楽的に発展成長していったそうだ。 

 地元での名声が高まるにつれ、グループ名を「モダンジャズセクステット」「ナイトホークス」と変えていき、1950年代後半に活動場所をウェストコーストに転じてからは、「Jazz Crusaders」と名乗った。

 彼等の音楽理念は結成当時から一貫している。

  ジョーサンプルは、

  「クルセイダーズの本質は、結成当時からなんら変わっていない。私達の心のおもねくままに、いつもストレートな気持ちをこめて演奏しているのだ。 音楽は、何よりも素直な気持ちを伝えることであり、聴いてくれる人を楽しませなくちゃ」

と語っていたという。 この理念は、半世紀たった今でも彼等の心の中に生きつづけている。

 60年代に入ると、西海岸を舞台に、ライブ、レコーディング、セッション、そして4人各様のセッションワークなど幾重にもクロスした活動を展開していた。 60年代後半にはCrossover,Fusionのうねりがおこり、彼等も「JAZZ」を外して「The Crusaders」と名乗るようになった。 

 そして70年代のFusionの隆盛の一翼を担う素晴らしい作品を次々と世に送り出していった。 71年から76年まではラリーカルトンがギタリストとして在籍し、まさに一世を風靡したFusionGroupとなった。 そして、1979年、Randy CrawfordをVocalに迎えた 「Street Life」が大ヒットして、その地位を固めることとなった。70年代後半に出されたアルバムはどれをとっても素晴らしい。21世紀の今聴いても心踊る感動が味わえる。

 80年代に入っても毎年のように新しいアルバムをリリースし衰えることを知らないスーパーバンドとなったが、実は、1975にオリジナルメンバーのWayne Hendersonがプロデューサに専念するためCrusadrsを去っていた。 ヘンダーソンの脱退は彼等の音には大きな影響を与えなかったが、1986年にはドラムのStix Hooperまでもが脱退してしまう。 この頃は、Joe SampleがソロでBreakしていて、そんなこんなでメンバー間に隙間風が吹いたのだろうか...これは大きな痛手であった。

 88年にリリースされた「Life in the modern world」は俗物に侵されてしまったCrusadersの抜け殻が鳴っているワーストアルバムである。 オリジナルメンバーが二人しか残らず、前述の音楽理念も影が薄くなってしまったのだろうか。世の中もバブルのはじめの頃で、皆、浮かれていて大切なもの-「心」をなくしていった時代でもあった、世の中に敏感な二人がこういうアルバムを作ったのもまた「自然」なのかもしれない。 Funkyさの無いただの薄っぺらい俗物のCrusaders、このアルバムは、そういう意味からもCrusadersファンには一度は聴いてほしいアルバムである。

 次の「Healing the wounds」は、マーカスミラーをプロデューサに迎え、まさに「傷を癒す」アルバムであった。このアルバムでは、CrusadersのFunkyな情緒が復活している。しかし、バンド内の傷は癒えなかったようで、このアルバムを最後にバラバラとなってしまうのである。

 90年代は、Wayne HendersonとWilton Felderが、Joe Sample抜きで「Jazz Crusaders」として、何枚かのアルバムを残している。 Louisiana HotSauseとか、気持ちの良いノリのアルバムであり、彼等もきっと昔に戻りたかったのではないかと思う。 一方のJoe Sampleは、ソロ活動でClapton、マーカスミラーとのLegends等 マイペースで良い仕事を続けていた。 
 
 そして、2002年ついに、The Crusadersが復活した。 残念ながら、Wayne Hendersonはいないが、あの70年代後半絶頂期のメンバーである、Stix Hooper、Wilton Felder、Joe SampleがReunionして戻ってきたのである! そうしてリリースされた 「Rural Renewal」は、少しおとなしくなってはいるものの以前のCrusadersがそこに存在する素晴らしいものとなっている。 

 2003年10月、Crusadersが大阪に来た。 Stix Hooperはいないものの、あとのメンバーはサポートも含めてRural Renewalのレコーディングメンバーである。 ライブは本当に素晴らしかった。 彼等の一貫した音楽理念は演奏自体やMCにまでもしっかりと見てとれた。 もう彼等も60代半ばである。 あと何年続けられるだろうか。。 また来日して元気な姿を見せてほしいものである。 歳をとっても、「その時々の気分を大切に、心豊にして音楽に浸りきる」というコンセプトを維持し続けるだろうし、維持し続けていれば、きっとまた素晴らしい演奏を聴かせてくれるに違いない。

 何はさておき、結成が1952年、途中空白が少しあるもののもう既に半世紀以上も続いているバンドである。 あのローリングストーンズでさえまだ40年である。 特に、Joe SampleとWilton Felderは とても仲良しで、きっとお互いの嫁さん以上にお互いを知り尽くした仲なんだろうと思う。 こんなにも長い間一緒に音楽が出来るなんて 奇跡みたいな人たちで本当にうらやましい。 これもそれも、きっと何度も言う「理念」を共通して持っているからなんだと思う。 そしてその理念をバックボーンとして、彼等が繰り出すリズム、メロディが私達を感動させる。 ミュージシャン冥利につきる人生を送ってますね。

 こんなCrusadersです。 もし、ひとつも聴いたことのない方でしたら、Street Lifeをまず聴いてみてくださいね。

 
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by Mono_Rain | 2004-11-05 08:13 | いろんなお薦め  

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